エデン
私室を出たルシファーはある場所へと向かっていた。
その瞳はどこか陰りをおびている。
「ルシファー。何処へ行く?」
呼ばれた声に振り向くと、見上げる程の巨漢な男が立っていた。
もの凄い威圧感のその男は射る様な瞳でルシファーを見降ろしている。
「・・・散歩だ」
ルシファーは臆する事無く、鋭い瞳をその男に返した。
「お前が何か良からぬ事をすれば、俺たちは全力でお前を倒す」
「何の事だ?」
今この場所に、運の悪い天使が迷いこんだら卒倒してしまうであろう程の張りつめた空気が流れている。
二人とも殺気を隠す事を知らないかのようだ。
「・・・ミカエルとて同じだ」
その名を聞いた一瞬、ルシファーの表情が動くが直ぐに元の冷徹な顔に戻り、ふっ・・と口元を歪ませた。
───────馬鹿な事を言うな!!
数週間前のミカエル言葉を思い出した。
・・・・・今更ミカエルと分かりあうつもりはない。
もう・・何もかも遅い・・・・・・・。