エデン

ふと、その時、愛しい気配を感じた。


視線を僅かに動かすと、一人の天使が必死に降りてくる姿が目に映った。


それが誰かなんて分からないわけがない。


ラファエルは動かす事すら叶わなかった腕を僅かに上げた。



(・・ジブリール・・・)



俺は・・まだ死ねない


お前が涙を流すから・・・・


でも今の俺にはお前の涙を拭ってやる力さえない。


だから・・・



ラファエルは地上に視線を落とした。

人間が一人、堕天使から逃げるように走っている。




俺は・・・




ラファエルはその人間に手を伸ばした。




この者の中で眠りにつく。


でもいつか必ず目覚める・・・・・


お前に会うために・・・・



ジブリール・・・




『──────‥‥』











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