エデン
『シン!シン!!』
あの日、僕は血まみれのシンを腕に抱いた。
シンは僕の初めて出来た友達だった。
4歳の時に母さんがくれた蒼い瞳の綺麗な犬。
捨てられていた犬を母さんが拾ったらしい。
僕は一人っ子で、母さんは身体が弱く殆んど伏せていたので、一人でいる事の多かった僕にとって、シンはかけがいの無い存在だった。
時には兄のように、弟のように僕の心を癒してくれていた。
けれどシンはバイクにはねられて、その命を散らした。
バイクに乗った少年達はさも楽しげにシンの命を奪っていった。
‥‥‥僕は、シンを護れなかった。
僕が見つけた時には、手遅れだった。