エデン
僕はシンの亡きがらをこの丘に埋めた。
目を閉じて風に身を委ねると、風はそよそよと僕の身体を撫ぜていく。
「‥‥ありがとう。お前達はいつも優しいね」
シンの行方が分からなくなった時も、僕を導いてくれた。
もっと早くに、ちゃんと風の声を聞いていたらシンを救えたかもしれない。
後悔なんてしてもしたりない。
「兄貴────っ!!」
感慨に耽ていると、それを打ち消す様な元気な声が聞こえて、振りかえった。
「ルカ」
「やっぱここにいたんだ」
ルカは近所に住む男の子で、僕を兄貴と慕ってくれている。
年は僕より5つ下の11歳。
元気が服着て歩いている様な子だ。
「‥‥大丈夫なのか?」
シンが死んでから散々心配かけた。
何せ最近まで学校行く以外は引きこもっていたから。
でもいつまでうじうじしていられないし、周りに心配ばかりかけてちゃダメだよね。
「心配かけてごめんな」
そう言うとルカは照れた様に口を尖らせて、指で鼻の下を擦った。
「全くだよ!心配するこっちの身にもなってくれ!」
憎まれ口を叩こうとするルカの顔は真っ赤だ。
ほんと、ごめん。
もう、大丈夫だから。
「ありがとルカ」
こんな僕を想ってくれて。
だけどどうやら僕はこのあと余計なひと言を言ったみたいだ。
「風にも慰められた」
‥‥顰めた顔したルカが僕を見ていた。