エデン
「うわあっ!」
途中で、前を走っていたルカが木の根に足をとられたのか思い切り前に転んだ。
慌ててルカに駆けよると、ルカは痛そうに身体を起こした。
「ってぇ‥‥」
見ると、膝からかなりの血が出ている。
ルカは平静を装っているが、その血を見た瞬間蒼白な顔になった。
僕は膝をついて、ルカの膝に右手をかざして意識を右手に集中させた。
「兄‥貴‥?」
ルカはキョトンとした表情で僕を見ている。
右手に熱が集まると、その熱をルカにわけるようにそっと患部に手を触れた。
右手が淡く光る。
「‥‥へ!?」
驚いた様なルカの声が聞こえて、手をゆっくりと離した。
‥‥ルカの膝にもう傷はない。
「もう痛くない?」
「すっげーよ!兄貴何したんだ!?」
ルカはぴょんぴょん飛び跳ねながらきらきらした眼差しで僕をみている。