エデン
『カムイ!カムイ────!!』
シスター達の自分を探す声が聞こえる。
カムイは一瞬振りかえり、今まで自分がいた孤児院を見つめるとそのまま踵を返して走り出した。
カムイは生まれて直ぐに両親に捨てられ、孤児院で育った。
けれど集団生活に馴染めず、シスターのくだらない話しにも嫌気がさして孤児院を飛び出した。
両親に会いたいとか、そんな事を思ったんじゃない。
むしろ自分を捨てた親に会いたい等と思った事はない。
ただ、早く自立をしたかった。
誰にも頼らず、一人で生きて行きたかった。
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次第に夜はふけり、丘の上で足を止めた。
丘の中央には大きな木が生えていて、カムイはその木にそっと触れる。
なぜかその木は自分を包み込んでくれるような気がして、ここで野宿をする事に決めた。
腰を降ろして木に凭れかかって瞳を閉じる。
長い間走り、疲れ切っていたカムイは直ぐに深い眠りへと落ちていった。