エデン

『‥‥み‥君‥!』

眩しい朝日の中、誰かに肩を揺らされ瞳を開けた。

目を開けると、青い瞳の犬をつれた少年が自分を覗きこむように見ていた。

『良かった!倒れてるのかと思った』

少年はほっとした様に、満面の笑顔をカムイに向けている。

まるで人を疑う事を知らないという様な少年の笑顔はカムイを苛立たせた。

なのに少年はそんなカムイの様子には気付かず自己紹介まで始める始末だ。

自分とは人種が違うんだと改めて思う。



それが、アナンとの出逢いだった。



アナンと出逢ったこの丘には、今はアナンの大事にしていた犬が眠っている。

自分の所為で死んでしまったシン。

アナンを酷く傷つけてしまった。



夜も更けたこの時間にこの丘に来るものはいない。

カムイは一人、墓の前に立っていた。

ふと、空を仰げば一面の星空が広がっている。


なんだか、自分の心を見透かされている様で後ろ暗い気がする。

カムイは自虐的な笑みを零した。


────こんなのは自分らしくないな。


カムイは視線を墓に戻し何かを思うように墓を見つめ、丘を下りて行った。




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