エデン
父さんから結婚の話しを聞いた次の日、学校に着くと威勢のいい声が僕を止めた。
振りかえると、見知った顔が僕の肩を叩いた。
「ヒビキ。おはよ」
彼の名はヒビキ。
昨夜父さんが話していた人の息子だ。
僕の幼馴染で、年は僕より一つ上。
短期で喧嘩っ早いけど、曲がった事が大嫌いですごく熱血感なんだ。
僕が絡まれたりするといつも助けてくれる。
ヒビキ曰く、僕はボーっとしてるから目が離せないんだとか。
そんなボーっとしてるかな?
「お前こんなに早く家出てんのか?お前ん家行ったらもう家出たっていうから」
そう、いつもだったらこの時間にヒビキに会う事はないのだけど。
朝が苦手なヒビキはいつも遅刻寸前だから。
「ヒビキが遅すぎるんだよ」
ちょっと呆れ気味に言ってみた。
「ん、な事よりお前聞いたか?」
一瞬バツの悪い顔をして僕の肩を掴んだ。
「何?」
「結婚だよ!お袋とお前の親父の!!」
「‥‥うん。昨日聞いて驚いた」
「‥‥反対、しないのか?」
「ヒビキもでしょ?」
言いながらヒビキを見れば、嬉しそうに顔を綻ばしていた。
‥‥ああ、ヒビキはホントにうれしいんだな。
「ま、な。親父死んでからさ、お袋苦労ばっかしてんだろ?お袋には幸せになってもらいたいんだ!!」