エデン

「アナン!帰るぞ!!」

「あ、待ってヒビキ!!」

放課後、ヒビキはご機嫌のままに僕を迎えにきた。

よっぽどおばさんの結婚が嬉しいみたいだ。

いつもはさっさと帰るくせにどうやら話したりないらしい。

だけど、ヒビキが僕の兄さんになるのか‥‥なんかくすぐったい気もするな。

僕は急いで帰り支度をすませるとヒビキの後を追った。


     ******


「‥‥‥?」

ヒビキの話を聞きながら歩いていると、前方に人だかりが出来ているのが見えた。

複数の少年が何かを囲うようにして立っている。

「‥‥カムイ?」

呟くのと同時に、少年達は武器を振りかざしてカムイに襲いかかった。

「─────!!」

僕は鞄を投げ捨てて、走った。

後ろでヒビキが何かを叫んだ気がするが、それどころじゃない。

いくらカムイだって、あんな人数に敵うわけない!



「カムイ!!」


だけど、僕がカムイに駆けよった時には、そこに倒れていたのは少年達の方だった。



‥‥‥‥やっぱりカムイは強いや。




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