エデン
「‥‥‥アナン」
カムイは僕を振りかえると、一瞬驚いた様な顔を見せ、瞳を反らした。
カムイがこんな場面をあまり僕に見せたくないのは知ってる。
でも今回の喧嘩は僕は無関係じゃない。
僕はこの人達を知ってるから。
「カムイ、怪我は?」
カムイが答える事は無かったけど、酷い怪我はしてなさそうだ。
僕はホッと息をつく。
「もう喧嘩しないって約束したじゃないか」
いいながら、倒れている少年達の怪我の様子をみた。
出血の割に大した事なさそうだ。
カムイなりに手加減したのかな?
僕は特別怒ってはいなかったのだけど、カムイを見上げるとバツが悪そうに瞳を反らしている。
その姿が母親に怒られている子供のようで、なんというか‥‥
可愛い‥‥
大型犬が尻尾と耳を垂らしてしょげているようで、思わずギュっとしたくなるような‥‥
「うわあ!!」
よしよしくらいはしてもいいかなと手を伸ばした瞬間、素っ頓狂な声が聞こえて振りかえるとヒビキが腰を抜かしていた。
ああそうか、ヒビキは血が苦手なんだっけ。
あたりは結構な血だまりになっていたから。
僕はちょっとだけため息をもらした。