エデン
僕がカムイと出逢ったのは今から10年以上も前だ。
カムイは施設で育った。
だからカムイに両親はいない。
生まれて直ぐに捨てられたらしく、顔も覚えていないらしい。
カムイは僕の憧れなんだ。
誰に頼ることもなく、たった一人で生きている。
施設にいた頃も何度も脱走していた。
早く独立したいっていつも言ってたっけ。
幼かったカムイは直ぐに捕まって、シスターにこっ酷く怒られてたな。
あのシスターは今頃どうしてるのかな?
厳しかったけど、ホントにカムイを想っていた。
カムイもあれだけ出たがっていた施設を出たのに、最近は顔を出してるらしい。
なんだかんだいいながら、カムイもシスターが好きなんだな。
って、こんな事カムイに言ったら全否定されそうだけど。
素直じゃないから。
学校には通ってないけど、施設を出てからは働いて自分の力だけで生活している。
僕とたった一つしかちがくないのにほんとすごいよ。
「‥‥あ、あのね、僕の父さんとヒビキのお母さん結婚するんだ」
僕は思い出した様に話しを切り出した。
「‥‥‥へぇ」
‥‥まぁ、カムイらしい反応かな。
「それだけかよ」
けれどヒビキはカムイの反応が気に入らなかったらしく、面白くなさそうな顔をしている。
でもヒビキ、仕方ないよ。
友達の親の結婚なんて、どう反応していいかわからないよ。
‥‥カムイだし。
「お前はそれでいいのか?」
「‥‥え?」