分裂
僕の足元にやってきて、こいぬはくんかくんかとにおいをかいでいる。あ、すみませんと、
彼女もこちらに来る。かわいいですね、と僕はいった。
すると彼女はふふ、とほほえみ、この子あなたになついているようですね、というので、
僕は食べ物じゃないのに、と軽口を言う。

彼女、ちょっとお金持ちっぽい、ワンピースがよく似合う私立の女子高生で、
名前を松戸 芽生(まつど めい)と呼ぶ。県立の僕とは大違いだ。
こいぬの名前を聞くと、名前はまだないらしい。

明日またあったら、僕が決めようか、と冗談半分でいうとぜひそうしてくださいと嬉しそうだった。
お世辞でも気分がいい。今日はいいスタートだ。
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