極上!ブラックコーヒー



ダメだ……今回ばっかりは暫く立ち直れないかも。

いや、立ち直れる自信がない。


私、美空夏木、(みそらなつき・17歳・高2)の家の隣にはカフェ『シーズン』がある。
ここには8歳年上の春兄こと風見春人(かざみはると)と同じ歳の秋人(あきと)と冬人(ふゆと)の双子がいる。

いわゆる、私たち4人は幼なじみってヤツだ。



「こうなったら!!!」


ガコン、ガコン……


近くの自販機でブラックコーヒーを買いまくってやる。(←飲めないくせにやけくそになった)

両手に持つのがやっとの缶コーヒーたち。
ちょっとバランスを崩すと……全部落ちるな、こりゃ。

冷えきった缶が腕の感覚を奪っていく。

この状態から一秒でも早く脱却するため、缶が落ちないギリギリの体制で家に向かった。



誰か家の前にいる?
あれは──



秋人と女の人……(誰だろ?)


私は咄嗟に電信柱の影に隠れた。

ってなんで私が隠れなきゃなんないのよ!
と思いつつも、反射的に身体が……

腕は缶コーヒーの冷たさせいで完全に感覚がなくなっている。
落ちるのももはや時間の問題。



「ええいっ!!」


私は目を合わせないようにして玄関目指して一目散に駆け出した。
< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop