君がくれたもの

痛み

美香は喜んでいた。

律や守、祐二、菜子。

一緒にこんな風に会って話しをしたり遊んだり。

当たり前の事が彼女にとっては嬉しい。

嬉しい?

自分の置かれた立場を考えながらも明るく彼等の前で振る舞う。

本当は、こんなんじゃない。

こんなはずじゃなかったのに。

ファミレスまでの道のりは遠くはない。

遠くないのに美香には長く感じた。

アスファルトを歩く三人の音が、コツコツ。

同じように歩いてるのに音は合わないらしい。

(もう少し。もう少しだけ。)

考えようとすると、頭に針を刺されたような痛みが走る。

「暑い………。
ったく、何でこんな日に集まるんだよ。」

長い前髪を触りながら、律がぶつぶつ物を言う。

「男の子」と言うより「男の人」になっている律。

そんな律を見ていたら寂しい気持ちになってきた。

「文句言わないの。次言ったらチョップするよ。」
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