君がくれたもの
「あっついなー。」

「うん、凄く暑いよー。」

守は美香と帰っていた。

同じ方向に家があるから一緒に帰る。

理由はそれだけ。

「あ、さっきさあ何言おうとしたんだ?」

空気が読めないのか思いつきで言う。

「んー?内緒。」

「そんな事言わずに教えてくれよ。俺達、友達じゃん。」

(ともだち。友達か。)

美香は悩む仕草を見せながら守の一歩前を歩いた。

くるり。

後ろを振り返って意味深気に告げた。

「守にはわかんないよ。一生かけてもわかんないかも。」

クスッと笑いまた歩き出す。

「俺には一生わかんないの?
だったらりっちゃんもわかんねえぞー!!」

「りっちゃんもわかんないよ。」

(わかんない。わかんない。)

寂しげに呟く。

(女ってわかんねえ。)

守は頭を掻きながらただ後ろをついて来るだけ。

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