君がくれたもの
それ以上は言わず、さっさと宿題をし始めた。

(……あ。)

きっと律は、

「お前のせいじゃない。」

とでも言いたかったのだろう。

でも言えないから遠回しに言った。

その事を思うと、また胸が高鳴った。

きゅうっと。

痛いくらいに締め付けられるような。

甘い感覚に陥った。

他の人なんか見えない。

もう律しか見えない。

大好きな、初恋の人。

何度も諦めようとしたけど、諦めきれなくて。

顔を見る度、声を聞いてはどんどん好きになる。

両想いになる事は無理だろう。

そばにいるだけ。

それだけで菜子には十分なのに。
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