君がくれたもの
手を思いきり握り目を閉じる。

守に自分の気持ちを知られた事に恥ずかしさを知り……

情けないと思ってしまった。

「わかんねえじゃん!!」

守が肩を掴んで持っていた花火が瞬時に地面へ落ちる。

大きくグイッと揺らされて体が思うようにならない。

すっかり大人の男になった守だと思い知らされる。

「……お前に何がわかるんだよ。」

強張って震える声に怒りが増す。

(違うんだよ。ハンパな気持ちじゃないんだよ。)

「わかるよ!!友達だろ!!」

「……俺はずっと好きだった。菜子の事が。ずっと見てた。」

「ゆ、う…じ?」

「でも、菜子は俺を選ばない。」

「………っ」

やるせない表情を見せる守。

(祐二……。お前そんなに菜子の事好きなんだ。)

心のどこかで、何かを決意した。

奥底に今まで隠していた気持ちが守の中で溢れ出す。

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