君がくれたもの
夕暮れの町が赤に染まっていて。

気づけば花の匂いがする。

ツンとしていて、でも甘い匂い。

(祐二、笑えてねえよ。)

何事もなかったように祐二は目的地へ歩く。

その後ろ姿を守は目に焼き付けた。

(幸せになってほしいのに、そんな切なそうにするなよ。
泣きそうな顔すんなよ。俺は、俺は……)

歩きながら、自分のふがいなさに苛立ちをする。

(みんなに幸せになってほしいんだよ。
好きなんだったら気持ち伝えろよ。
好きって言えよ……)

改めて決意を固めた。

それは、もう誰にも止められない。

誰にも……。

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