君がくれたもの
「……別に私は花火したいとかじゃなくて……」

菜子が一人ブツブツ言いながら携帯を開く。

時間を確認して携帯を閉じ。

「りっちゃんが行くとか、下心なんてない……し……」

(下心!??私何考えてんの!!?馬鹿馬鹿!!!)

ボッと顔を染めてアタフタする。

周りから見たら変人と間違われるほどだ。

「私は……好き、だけど。」

(多分、敵わないよ。)

はあ。と一つため息をこぼす。

前を見ると誰かがこっちに向かってきて……

しかも、それは見た事のある人達。

近づくにつれ、顔もはっきりと見えて来る。

「………あ。」

声を漏らしてしまい、嫌な胸の音がドクドクと早くなり……

「菜子ー!!」

聞きたくなかった声が耳に響いた。

見たくなかった光景を見てしまった。

「……美香。と、りっちゃん……」

平然を装いながら、前へ、前へ進む。

進みたくないのに、足は言う事をきかないらしい。

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