君がくれたもの
二人も菜子に近づく。

(もうやだ……帰りたい。)

泣きそうで辛いのを我慢して。

「一緒に来たんだ。」

「ああ。花火とかだりい。」

(怠いとか言ってるくせに、来るんだ。)

「でも、花火楽しいよ……?」

「菜子も美香と同じ事言うんだな。」

笑いながら答える律に傷ついた。

(笑わないでよ。)

傷はどんどん深まっていき、ついには美香に嫉妬した。

(私、嫉妬してる。最低。)

嫉妬なんてしたくないのに。

「りっちゃんは女の子の事わかってないんだよ!!」

間に割り込むように入ってくる美香を、律は嫌々避ける。

嫌いとかじゃなくて、そんなんじゃなくて……

まるで好きな子をイジメてるような。

そんな感じにとらえてしまった。

「菜子、こんなん相手にしないで行こうぜ。」

「う、うん。」

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