君がくれたもの
耳をくすぐる低い声。

ドキドキと脈打つ心臓。

横を向いたらキスできそうで。

(ばーか。勘違いするよ。そんな事言われたら。)

耳を押さえて律の方を見る。

何度も何度も思い出してしまう。

低い声が耳元で、囁くのを。

甘く酔いしれる律の声。

普段は高いのに、こんな時には低い声になる。

(……やっぱり私おかしい。)

諦めたいのか諦めたくないのか。

曖昧な気持ちが行き来する。

(はっきりさせなきゃ。)

律の隣で可愛く笑う美香を羨ましく見た。

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