君がくれたもの
投げやりに考えていたらスッと花火を差し出して

「これ。」

「はっ!?」

思わず声が出てしまった。

「いや、菜子と一緒のやつだし。」

「私はこの花火が好きなの。」

「だったら菜子が……」

使ったらいいじゃねえか。

「いいから!!使って!!」

ズイッと押し付けるようにして今か今かと俺の様子を伺う。

「わかったよ。」

菜子のしつこさみたいな
のに負けて、面倒くさがりながらも火をつける。

「向こういってくる。」

「おう。」

守と美香の方へ逃げていくように歩く菜子をジッと見た。

最近の菜子は変わった。

積極的になったと言うか、自分から話すようになっていた。

それは守も祐二も美香も気づいている。

俺だって長い付き合いだからわかってる。

だからと言って、菜子の事をどうこう思ったりはないが。

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