君がくれたもの
「美香が転校した事菜子に言わないと。」

少し離れて歩く律と守……

「言ってどうすんだよ。」

「ちゃんと言わないと悲しむだろ。」

守は納得したようにコクンと頷く。

祐二は、律を見つめた。

律の姿を見つめた。

「始業式が終わったら行くぞ。」

リーダーシップを取る祐二に律は浮かない顔をしている。

「俺は、いいや。」

すかさず問う。

「何で?律も行かないと意味ない。」

嫌がらせのように思えたが、どうだっていい。

誰が菜子を慰めるんだ?

守でも祐二でもない。

律しか無理なのに。

(わかれよ。)

小さく呟いた。

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