君がくれたもの
「何で転校したの?」

「俺にだってわかんねえよ!!」

辛そうに言う律を見たら、泣きそうになる。

ぐっと我慢するように菜子は体育館を出て行った。

(菜子……)

守は、どうする事もできない事に腹を立てた。

このままだと、みんな離れていきそうで。

「美香の家行ってみねえ?
行ったら美香いるかもしれないし。」

「守ふざけるのやめろよ……」

「でも祐二、行かないとダメな気がする。」

(上手く言えないけど。)

押し殺すように言ったのだが伝わってないらしい。

「わかった。」

律がボソッと言って出ていく。

「りっちゃん……」

つい名前を言ってしまった。

「俺も行く。菜子には守から言ってくれ。」

「うん。」

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