君がくれたもの
「この、大きい家じゃない?」

菜子が指差して表札を見に行く。

俺達も付いて行き玄関の前で立ち止まった。

「なあ、違うんじゃないか?」

守が何度も紙を確かめては表札を見る。

俺も住所が間違ってるのじゃないかと思った。

なぜなら表札には「吉野」ではなく「松前」と示されている。

「でも、住所合ってるよ。」

「美香って名字は吉野だ、よな?」

祐二が、恐る恐る聞き返す。

こっちが聞きたいくらいだ。

どうなってるんだ?

一体何なんだよ……

「吉野で合ってるよ。チャイム鳴らしてみたら?」

「守、お前……」

俺が言う前に祐二と菜子が喋る間もなくチャイムを押した。

一回押すが人が来る気配もない。

二回目。三回目。

四回目を押そうとした。

耐えられなくなって守の腕を思い切り掴み、叫んだ。

それは、自分の意思とは関係もなく

……だ。
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