君がくれたもの
「守!!やめろ!!もういい!!」

「はなせよ!!じゃないと……」

泣きじゃくる守。

つられて菜子も声を出して泣き出す。

と、同時に扉がガチャと開いた。

前を見ると扉の向こうに若い女の人がいる。

美香……?いや、違う。

よく見たら顔も髪型も美香ではない。

だけど、雰囲気が似ていて……

「どちら様ですか?」

声がそっくりなんだ。

あの甘い声と。

その人は、泣いている守と菜子を不思議そうに凝視した。

恥ずかしそうに菜子は目を擦る。

「えっと、ここって松前じゃなくて吉野じゃないですか?」

つい聞いてしまった。

女の人は目を見開いて困ったように言う。

「吉野は私の名字です。今は結婚して松前に。」

「俺達の同級生に吉野美香って子がいたんです。
その子の住所がここで……」

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