君がくれたもの
「すいません。迷惑かけてしまって。」

祐二が頭を下げて謝る。

つられて俺達もスッと頭を下げた。

男の人は優しく微笑んで言う。

「よかったら上がってくれないかな?」

「でも……」

「いいから。お茶でも出すよ。」

「……」

「暑い中来てくれたんだし。」

「はい。」

気が引けるが俺達は家へ上がった。

玄関に入ると新築の匂いが鼻をくすぐる。

写真も飾ってあって新婚って感じだ。

家に上がって良かったのだろうか?

美香が八年前に亡くなった?

じゃあ、今まで俺達といた美香は幽霊?

でも美香とは小さい時から一緒だったような……

思い出せない。

記憶が違う……?

数々の疑問が自分に投げかかる。

俺の隣にいる菜子も祐二も守も暗い。

当然だ。

あんな事を言われたら誰だって混乱する。

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