君がくれたもの
「ちょうど今の季節だった。
高校一年生の夏休み。
美香に呼び出されたんだよ。遊ぼうって。」

「………」

ひたすら喋る聡さんの話しを何も言わずに、ただ聞く。

「こんな暑い日に呼び出されてさ。
ムカつきながらも、指定された場所に向かってた。
でも何時間待っても美香は来なくて。
騙されたんじゃないかって携帯開いたら電話が鳴って。
出たら親から言われたんだ。
美香が交通事故で病院に運ばれた。って。」

「……っ」

「急いで病院に行ったら美香の家族と美香がいて。
美香には変な管みたいなのが体に付いてた。
息もできないくらい、辛かったんだろうな。
俺が来るなり、笑って言ったんだ。
お姉ちゃんの事よろしくね。
学校ちゃんと行ってね。
それが最後に交わした言葉だった。」

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