君がくれたもの
二人の会話は俺を除いたまま進んでく。

どこで遊ぶとか。

今から集まるのか。

どうでもいい事ばかりが並べられる。

「祐二は塾で来ないだろうし
菜子については、絶対来ない。」

いやいや返事しながら机の上にあるジュースを飲む。

甘い。

美香の声と同じように甘い。

甘いのなんて嫌いだ。

子供っぽいから。

「でもさあ、連絡したら来るかもよ。祐二も菜子も。」

「祐二は来ても菜子は来ねえよ。あいつ腐れ女だから。」

「菜子が腐れ女?
何で?ねえ、何でりっちゃん。」

守との会話を遮るように俺の腕にしがみついてくる美香。

無邪気な笑顔。

ふにゃ。と笑う顔。

「何もしないよりさ、してから後悔した方がいいじゃん!!
て事で俺はメール送るぜ!!」

「守かっこいいー!!」

会話が成立してるのかしてないのか……
守と美香は自分達の世界に入っている。

「暑い………。」

クーラーが効いてるのに部屋は異様に暑く感じた。

理由一。

暑苦しい男がいるから。

理由ニ。

俺の嫌いな甘い声で名前を呼ぶ女がいるから。

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