恋歌 〜secret love〜
「俺等は自己満足のためだけに演奏するんじゃない。聴いた人を満足させるためにも演奏するんだ。
そのためにはまず、俺等の演奏を最後まで聴き続けてもらえるものにする必要があると思う。だから、他の奴等と同じことをするだけじゃ、駄目だと思うんだ」
勇人の訴えかけるような強い言葉に、阪崎君が相槌を打った。
「そうだね。まずは注目をしてもらって、みんなの目を引き付けないといけないかな。そのためには、他にはない特徴を持つ必要があるよね」
「確かにねー。新鮮味がないと誰も真剣には見てくれないよなぁ。その場限り……みたいな?」
「それに、今までに誰もやっていないことをやるからこそ、価値や評価が得られるはずだし?」
何か、PEACEは、ものすごい野心家の集まりみたい。
あたしはいつも、諦めることしかしてこなかったから
こんな風に何かを追い掛けて、追い求めていく空気はすごく新鮮だ。
今までに感じたことのないこの雰囲気に
正直なところ、慣れない部分がない……とは、言いきれない。
それでも、今までの癖で、1人でいると諦めモードに入っちゃう自分を
みんなの雰囲気は定期的に、良い方向へ引き上げてくれそうな気もする。