恋歌 〜secret love〜
「そんな時に、奏のことを思い出したんだよ。奏は……無意識かもしれないけど、歌によって歌い方とか声も全然違うんだ。
しかも、そいつら全てがちゃんと魅力的に聴こえる。だから、俺等のバンドにぴったりだったってわけ!」
確かに、歌う歌によって声が違うとはよく言われるけど……
あんな独学みたいな、遊びみたいな声の変え方で大丈夫なのかな?
「と、ゆーわけで!PEACEは敢えて多ジャンルの歌に挑戦します。はい、文句のある奴は?」
あたしは、何だかくすぐったい気分になりながらも、みんなの強い視線に後押しされみたいに、勇人を見た。
「奏ちゃん?文句あるわけ?」
何か、ここまで来たらむしろ面白い。
そう思うあたしは、おかしいのかな……?
「文句なんて、ないに決まってるでしょ?」
そう言うと、勇人はにっこりと微笑んだ。