恋歌 〜secret love〜
こういうのも、“カクテルパーティー現象”って言うのかな?
頼城先生の授業で、英文に出てきたんだよね。
同じ部屋の離れた所にいる人の、普通なら聞き取れないような会話でも
自分に関係する部分だけ聞き取っちゃう現象。
確か、内容はこんな感じだった。
英文には、自分の名前を出されることに反応する、って例が書かれてたはず。
今は、別にあたしの名前が呼ばれたわけじゃないけど……
ただ
頼城先生の声が聞こえただけ……
それなのに反応しちゃうあたしは、相当重症だと思う。
頼城先生への思い。
頼城先生のオーラ。
頼城先生の声。
頼城先生の行動。
頼城先生の、存在。
いつの間にか、全部が自分の名前と同じくらいに重要になっていたみたい。
そのことに気付いてどきどきするあたしの耳に
授業の終わりを告げるチャイムが響いた。
気づいたら、文化祭まではあと2ヵ月になっていた。