恋歌 〜secret love〜
┣1つ目の歌
「あのさ……。これ、1曲だけ完成したんだけど……見てもらっても良いかな?」
いつもの時間。
いつもの音楽室。
練習のために着々と楽器の準備を始めるみんなに、あたしは小さく声を掛けた。
「まじ!? どれどれ?」
楽しそうに近づいてきた勇人に、あたしは楽譜と歌詞を渡す。
六濱くんは、勇人の手からすっと楽譜を取ってキーボードの所へ行った。
明るい音を集めて、八分音符を重ねたメロディー。
ゆっくりとした曲調ではあるけど、できるだけ軽くて、楽しくなるようにしたつもりのこの曲。
そうすることで、みんなのあったかくて、優しい空気を表現したかったんだ……。