恋歌 〜secret love〜

「職員室にさ、入るのが怖いの。

くだらない質問だったらどうしよう、とか。先生の仕事の邪魔になっちゃったらどうしよう、とか。いろいろと考えちゃってね。

そんな風に思われるくらいなら、この問題もわからないままで良い……て、思っちゃって」



情けないけれど、これがあたしの本音。



このまま終わらせるのが良くないっていうのは、ちゃんとわかってるつもり。


それでもやっぱり、怖いものは、怖い。



泣きそうな顔になりながら固まるあたしに、彩乃が呆れた顔をした。



「……いい加減にしなさいよ」


「えっ?」


「確かに、怖いとは思うわよ? 自分が今までにやったことのないことに初めて挑戦するってことは。

しかも、相手が自分の好きな人なんだし。怖さとか緊張が増すのなんて当たり前。

でもね、こんな所でいつまでも突っ立ってるなんて、馬鹿みたいでしょ?」


「ば、馬鹿みたいって……」



眉間にしわを寄せるあたしを、彩乃が正面から覗きこんだ。



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