恋歌 〜secret love〜
そっと鍵を手にとって、音楽室へ向かう。
日が目一杯差し込む夏休みの校舎は、嫌になりそうな程暑い。
校庭から絶え間なく聞こえるいろんな部活の掛け声も
そんな雰囲気を一層力強くしてるみたいだった。
まっすぐに続く白い廊下。
そこを、まっすぐに前を見ながら歩くあたし。
でも、あたしは本当にまっすぐ歩けてるのかな……?
そんな風に、時々思う。
少し前までみたいに、自分ができないと考えたことをすぐに諦めているままのあたしだったら
こんなにもまっすぐで白い廊下、堂々と歩けなかったかもしれない。
そう思うと、今は前よりもマシなのかな……
でも、今だってまだ、後ろ向きな考え方とか、何でも諦めようとするクセとかを
絶対にしないなんて言いきれない。
そんな自分自身が、少し情けなくなったりもする。