恋歌 〜secret love〜
次の日。


あたしは、いつものように校舎に足を踏み入れた。


教室の中は冷房が入ってるけど、玄関はそんなわけにはいかない。


白い壁とは対称的に、じめっとする暑さが肌にまとわりつく。



「奏じゃないか? おはよう」



靴をはき替えようと下駄箱の辺りにいたあたしの耳に

大好きな声が飛び込んできた。



いつもは

「今から来るんだ!」

って自分に言い聞かせてから聞く声。



それが、こんな不意打ちでなんて……



あまりにも急すぎて、心臓がパニックを起こしそうになる。



「お、おはようございます。……頼城先生」


「何でそんなにたどたどしいんだよ。初対面でもあるまいし」


「頼城先生こそ、敬語はどこ行っちゃったんですか? ここ、結構オープンですけど?」
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