恋歌 〜secret love〜
「へ?」



あたしは、思わず間抜けな声をあげた。


そんなあたしの反応を面白がってか、先生が軽く笑う。



「就職とか、採用試験のことなんかを考えるなら、就職したい地域の大学に行くのが一番良いとは思う。

ただ、教育学部にもいろいろあって……

総合大学の教育学部と、教育学部しかない大学では、やっぱり雰囲気も違うだろうし」


「そうなんですか?」


「教育学部しかない大学でも、総合大学的な要素を持つ所だってあるしな……。

だから、どこを選ぶかは奏の希望次第じゃないか?」


「なるほど……」



先生は、ピアノの表面を軽く撫でた。


そういえば、何でこのピアノはカバーがないんだろ……


誰かが掛け忘れたのかな……?



「あとは、……一人暮らしをしたいから遠くの大学へ行く……なんて奴も、俺の友達にはいたし。
現実的な話をすれば、偏差値の問題もある」



偏差値の話を出した頼城先生に、あたしは苦笑いを返した。
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