恋歌 〜secret love〜
「あの……頼城先生?」
音楽室に入って近くの机にもたれかかった先生に、あたしは戸惑いながら声を掛けた。
部活がないせいで、この部屋も不思議なくらい静かだった。
「ここなら気兼ねなく話せるだろ?何か、職員室では言いづらそうだったからな。
それに、俺も他の人がいない方が楽だ」
「あ、普通の話し方ができますもんね」
「そうなんだよ。しかも、他の先生に遠慮する必要もないしな」
移動したのは……自分のため。
そんな雰囲気を感じさせる言葉だったけど
あたしのことを気遣って移動してくれたんだってことは、よくわかった。
頼城先生に、職員室が苦手だって話したことはないんだけど……
「あ、あの……勇人から伝言を聞いて……」
「伝言?」
あたしは、持ってた封筒を先生に差し出した。