恋歌 〜secret love〜
あたしは、ずっと気になってたことを思い切って聞いた。
「うーん……何でだろうな。
もう少しじっくり聴きたいって単純に思ったから……かな」
「そう、なんですか。何か……照れますね」
今、自分はどんな顔をしてるんだろう……?
笑って答えたつもりだけど、ちゃんと笑えてない気もする。
「照れなくて良いだろ。それだけ良いものができたって証拠なんだから。
たかが文化祭のステージだったかもしれないが、俺は本当に良いものを聴けたと思った」
先生がすっ、と右手を差し出した。
「奏、よくやった。ありがとう」
そこに、そっと右手を合わせる。
その瞬間に感じた温かさと力強さ。
それがものすごく嬉しくて、愛しくて……――――
あたしは、泣きそうになるのを必死でこらえた。