恋歌 〜secret love〜
あたしが諦めようとしてる夢のことなんて、勇人は少しも知らない……――――


必死な表情の勇人に協力したい気持ちはある。



だけど、恐い。


勇人がせっかく声を掛けてくれたのに……って思うと申し訳ないけど。


でも、ボーカルなんてやったら、あたしの今までの我慢が全て溢れてきそうで……恐い。



変に、未練が残ったら困るから……――――



「まぁそう言わずにさ。

確かに、勝手に録音した勇人は確かに悪いかもしれないけど……
こんだけの系統の歌を歌い分ける奏ちゃんはすごいって、ボーカルにしたいって、みんな思ってるんだ。

だから、何とかお願いできないかな?」


阪崎くんが、落ち着いた声でゆっくりと言った。



誉めてくれたことは嬉しい。

あたしを選んでくれたことも嬉しい。


でも


「でも……」





「やってみたら、どうですか?」
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