恋歌 〜secret love〜
英語の質問に行くことはほとんどない。
と、言うよりも
あたしが職員室に行くことが、あまりない。
だから、必然的に頼城先生と話す機会が減るのも仕方がないことだと思ってる。
それは、少し淋しいけど……
こうして、授業中にじっくりと眺められるだけでも、あたしは十分幸せだ。
この恋が実る可能性……
それはきっと、限りなくゼロに近い。
だってあたしが、胸に秘めるって決めたから。
自分から動きださなかったら、流れていく世界を変えることなんてできない。
わかってはいるけど、あたしはこの恋に関しては何もしないことを選んだ。
だから、実るわけがない――――
唯一、ストレートな気持ちを混ぜ込んだ恋の歌が
何かのきっかけになってくれることなんて、あるのかな……?
もうすぐ、寒い冬がくる。
あたしは、黒い背中を見ながらそんなことを思った。