恋歌 〜secret love〜
「えっ……?」



いつの間にかこっちを見ていた頼城先生が、あたし達の傍まで来た。



「さっき勇人に押端さんの歌を聴かせてもらいましたけど、本当に素敵だと思いましたよ。

田尾端さんの歌うそれぞれの歌から、それぞれ違った……何というか、色……を感じて。

これは、なかなかできることじゃないと思います」



先生はにっこり笑いながら、あたしに視線を合わせた。



「だから、是非もっとたくさんの色を見せて、俺を楽しませてくださいませんか?
押端さん自身の中でも、何か良い変化があるかもしれないし」



あたしに目線を合わせながら、ゆっくり話してくれた頼城先生。


その言葉はいつもと同じでありえないくらい丁寧だった。



嬉しくて、安心できた。
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