恋歌 〜secret love〜
「ここに隆夢ちゃんがいたら完璧なのにー!!」
「さすがに今日は忙しいだろ。
センターリサーチの業者とのやりとりもあるだろうし、先生同士でも、俺達の結果と志望校を照らし合わせて判定会議をするんだろ?」
「うん、確かそうだったはずよ。何か、受験ってこんなに大変なんだーって、思い知ったわ。今更だけど」
六濱くんの言葉に返した彩乃は、そのまま水の入ったグラスに手を伸ばした。
カラン、と揺れる氷が、窓から入る光できらきら光ってる。
夏は涼しげで、少しでも長く触れていたかった氷。
冬の暖かい店内では、ちょうど良いうるおいをくれる氷。
そんな小さな物や変化に、今は何だかほっとする。
「受験か。まぁ、まだセンターの判定ももらってないし、それまでは自分の思うように勉強するしかないよな……。
よっし!俺は決まった!!」
勇人は、そう言ってメニューを閉じた。