恋歌 〜secret love〜
まっすぐに伸びた先生の視線が、少し……いや、かなりくすぐったい。
「はい……」
たった一言……
この一言を言うのが、あたしの精一杯だった。
「進学先が近くの大学だったら、ときどき模試監督として学校に働きに来てもらったり、遊びに来たりすることもできるかもしれないが……」
頼城先生は、そこまで言って少し笑った。
きっとこれは、“笑い”の分類で言ったら“苦笑い”
先生の目の奥が、少し揺れたようにも見える……。
「東京だと、そんなことも言えないな」
「……淋しいですね。そう考えると……やっぱり」
「そうだな。この辺りだと、東京へ出ていく奴も少ないしな」