恋歌 〜secret love〜
「…………っ!!」
しばらく状況がよくわからなくて……
やっと理解できた時には、もう先生の後ろ姿さえ見えなかった。
笑ったり
真面目な顔をしたり
ふざけたり
あたしは今、さっきまでの瞬間にどれだけの表情を見たんだろう。
まだまだ子どものあたしには、それら中にどんな意味が込められているのか、全然わからない。
それなのに
あたしの気持ちはこんなにも簡単にぎゅーっ、と頼城先生に近づいていくんだ。
手を置かれた部分が、何だかあつい。
早く帰るように言われたけど、この熱を冷ますのに精一杯で……
あたしは少しの間、その場にたたずんでいた。
“絶対に大学に合格する”
そう、胸に誓いながら……――――