恋歌 〜secret love〜
へらへらしてるように見えるけどしっかり者の慶介は、センターの結果を冷静に分析して、志望校を定めた。
見るからに負けず嫌いで完璧主義の卓哉は、センターで確実に自分の欲しい点数をもぎ取って、志望校に向かって突き進んでいる。
進は……言うまでもなく、第1志望にまっしぐらだ。
頭も良くて、性格も良くて、落ち着いてて、……本当にすごい奴だよな。
奏とは直接話してないけど
俺がいない隙に隆夢ちゃんを捕まえてるところを見ると、奏の一生懸命さがよく伝わってくる。
「彩乃だって、頑張ってるんだよな……」
センターの結果を、彩乃は俺に言おうとしない。
だけど、彩乃の考えていることや決めたことは、何となくわかる気がする……
きっとあいつは、時期がきたら俺にも、みんなにも話してくれるはずだ。
机の脇に置いたケータイをそっと見る。
しっかりと充電器におさまるそれは、光ることも、震えることもなく、静かにたたずんでる。
鳴らない、鳴らされない、鳴らさないケータイを見ながら
俺はぐっ、と両腕をのばした。
「集中!っと……」
放り出していたシャーペンを握り直す。
俺達の勝負の日まで、あと2週間だった。