恋歌 〜secret love〜
「あたしは明後日。まぁ、正直厳しいとは思ってるけどね……。

奏は明日だっけ?」


「うん。朝の10時から、ホームページで」


「何か、2人の結果が気なって、こっちまで緊張しちゃうよ」



そう言って、眉間にしわを寄せたさとみちゃんが、何だか可愛い。



クラスが離れた子もたくさんいるけど

それでも3年間一緒だったみんなと離れるのは、何か変な気分だ。



中学生から高校生になった時は

制服が可愛くなって嬉しいとか、“女子高生”って響きにどきどきするとか……

卒業や進学に対してその程度のことしか感じなかった。



でも、今回は違う。



勉強する内容も

場所も

校風も

通う年数も



何もかも違うところに、みんなが散る。



将来に向けて、具体的にスタートする瞬間になる。




……そう思ったら、自分の行動とか判断とかがこれで良いのかって

改めて不安になってきた。



「奏、先生のとこに行かなくて平気なの?」



机に荷物を置いたところで、彩乃に言われた。



「そうだね……。彩乃も行く?」


「2人の邪魔なんてしないわよ。

あたしは、これから小論文の指導してくれる先生に挨拶してくるから。

何でわざわざ、今年来た先生にするかなー」


「そうなんだ……頑張って」



少し面倒臭そうな顔をする彩乃に手を振って、あたしは廊下を歩きはじめた。
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