恋歌 〜secret love〜
◆twelfth melody
┗突然の電話
「ねぇ、奏! この後みんなでカラオケ行かない?」
大学の講義の後
隣にいた友達が鞄に教科書をしまいながら言った。
講義が少なかったおかげで、まだ外は十分明るい。
あたしは、ちらっと腕時計を見てから言った。
「あー……ごめんね!今日はこの後予定があって。
また今度誘って?」
「そっか、残念。じゃあ、また明日ね!」
「うん。またね」
立ち上がって別の友達のところに歩いて行った彼女を見送ってから、あたしも急いで荷物を片付けた。
大学に入ってから3ヶ月。
雨が多くてあんまり好きじゃない今の季節だけど
やっと講義の雰囲気にもなれてきて、生活自体はだいぶ落ち着いてきていた。
少しぎこちない手つきで改札を通って、時刻表を気にしなくても次々に現れる電車に飛び乗る。
じめじめした季節な上に、夕方の少し混雑する今の時間帯の電車は好きじゃない。
……でも、これも歌のためだって思えば、頑張れる気がする――――
学校がある駅から20分くらいで着いた駅で電車を降りてから
あたしは足早に歩きはじめた。