恋歌 〜secret love〜
「1時間あるから、私達も自由に動けるだろうし、お客さんも暇だと思うから」
確かに、1時間も空いちゃったら暇かもしれない。
でも、そんな短い時間で結果が出ちゃうんだ……。
「そっか。ちょっと、試してみようかな……。でも、どうやったら見つかると思う?」
「うーん……。確か、ソファーとか自動販売機とかが置いてある、休憩スペースみたいなところあったよね?
あそこを探してみたら良いんじゃない?
みんな、客席で静かに待ってるとは思えないし」
1時間席に座って待つとこを想像したのかな?
さゆみちゃんは、不機嫌そうに肩をすくめて言った。
「なるほどね……。ちょっと、やってみようかな」
「うん! 結果、ちゃんと教えてねっ!」
そう言って、さゆみちゃんは軽く首を傾けた。
その動きと一緒に、ふわっと髪が弾む。
配られた資料を見ると、休憩時間まではあと2時間。
司会者の人の質問に答えるアピールタイムまで、あと1時間。
アピールって何するんだろう?
そんなことを考えながら、あたしは2時間後に何が起こるのかを想像してどきどきした。