恋歌 〜secret love〜
「……」
誰だろう……?
でも、こんな文章を書くのって、やっぱり……
「何だか、すごく大人な雰囲気が伝わってきて、格好良いですね。見守られている感じ?」
大人……か。
届くかもわからないし、届くことなんて期待しないで勝手に書いたあの歌。
でももし、今回の推薦とこのメッセージが歌への返事だとしたら?
……歌に込めた気持ちが届いたって、伝わったって、こと?
頼城先生、に――――
“絶対に伝わって欲しくない”
そう思ってたくせに……
ギリギリになって、自分の都合良く話を作りだす頭に、少し顔をしかめたくなる。
「あれ?押端さん、大丈夫? 泣いてる?」
「え?」
司会の人にそう言われてから、あたしは思わず自分の頬に手を当てた。
気付かないうちに頬を伝っていた水滴が、それに合わせて動きを止める。
「泣いてたんだ、あたし……」